節分です「いじめっ子はいねぇか~!」
毎年節分の日に、風りんりんには怖い鬼がやってきます。山から下りてきて「悪い子はいねぇかー!」「いじめっ子はいねぇかー!」「泣き虫はいねぇかー!」とドスの聞いた大きな声で子どもを追いかけます。そのルックスは大人でも怖い!子どもたちは一斉に散らばりそこら中で大泣き声。鬼は「悪い子はいねぇかー!」「いじめっ子はいねぇかー!」「泣き虫はいねぇかー!」を繰り返しながら追いかけます。
子どもたちは必死に逃げますが、そこから不思議なことが起きます。ギャン泣きしながら鬼に逆襲を始めるのです。「ギャー、ギャー、鬼は外―!鬼は外―!ギャー!ギャー!」泣きながら大豆を投げつけ、逃げながら大豆を投げつけ、それでも攻撃は止めない。鬼の顔が30センチのところにあっても豆を投げつける。必死に必死に・・・。動画を撮りながら涙が止まらなかったです。
最後鬼は山を転げ落ちながら逃げていきました。遠ざかる鬼にやっと初めて豆を投げる子もいて、それでもちゃんと「鬼は外―!」と大きな声で投げられました。
鬼がいなくなると「鬼逃げたなー!」「やっつけたな!」「全然怖くなかったな!」「おもしろかったな!」とどや顔。その後は雪でお尻滑りしたり、アスレチックで遊んだり、テンションが下がることはなく力強い満面の笑みで遊んでいました。
鬼は病気・災害・悪い運気などの「災いや厄」を象徴しています。鬼を怖い存在として描くことで、しっかり追い払おうとする真剣な気持ちが強まります。そのほかにも人生には怖いものがたくさんあります。人とうまく付き合えない怖さ、何をやってもうまくいかないから挑戦できなくなる怖さ、ひとりぼっちの怖さ・・。本気で怖かった鬼だから本気で追い払うことができ、「僕にできた!」達成感を味わうことで自信がついた清々しい顔でした。これから何か問題にぶつかったときにでも、必死にやればなんとかなる!という確信ではないでしょうか。
そしてその鬼は何を言ってたんだっけ?と思いだすと、「悪い子はいねぇかー!」「いじめっ子はいねぇかー!」「泣き虫はいねぇかー!」。そうか!これをすると鬼が出てくるんだ。これは悪いことなんだと善悪の判断基準が一つできるのです。
終わった後にスタッフは「やった!やった!みんなが頑張って鬼を追い払ったんだ!!みんなすごいよ!!やっつけたからもう来ないよ!」と勇気と喜びを共有することで子どもたちは安心感を得てくれます。
もちろん怖がらせすぎはトラウマになることもあるので、スタッフは個々に様子をみます。月齢の小さい子はスタッフにしがみついてくるのでギュッと抱きしめて守り、ここは安心な場所だと身体で伝えます。毎年体験することで少しずつ強くなり、そのうち鬼がいないことにも気づき成長していきます。
近年は「怖がらせない子育て、保育」が主流です。しかし世の中にはどうしても怖いものがあり、それに立ち向かう術は実は人はみな持っている。実際試せるひとつのチャンスが節分ではないかと思います。
私たち大人は子どもが人生に必要な体験をたくさん用意してあげたいと思います。新しい体験をするたび、子どもの顔は輝き、次の興味を勝手に見つけそれが成長へとつながる。子どもの人生が刺激と安心に満ち、光り輝き続ける一助になりたいと考えます。
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