人が自然を支配しているのではないのです。自然が人を育ててくれるのです。

タイトルは、現総理大臣・石破茂さんが2019年、風りんりんbaseの開園式に寄せてくださった祝詞の一部です。技術の進歩で人の寿命まで延ばせるようになった現代、人は王様になった気になってしまいますが、そうではないと一番わかっているのは子どもだと実感します。毎日自然の中にいるいやでも厳しい自然と対峙します。寒い暑い濡れる冷たいなどいやだから、さてどうしよう?その連続です。
 
14年前くらいにまだ小さい我が子と見学に行った森のようちえんで見た光景です。雪が舞い散るとても寒い日でした。一日思いきり雪遊びをしてびしょ濡れです。「さ、帰るよ~と」スタッフさんが声をかけると一人の女の子が、大きなゴミ袋に入った自分の着替えを持ち出し、雪の中パンツ1枚になって手際よく着替えました。その後サンタのように大きなゴミ袋を背負って悠々と帰りのバスに乗り込みました。体験にきていた保護者から「ほー!」と小さい歓声が。きっとその子は「濡れて寒いままいるより一瞬寒くても着替えたほうが暖かくなる」と体験から会得し実践していただけなのでしょう。
 
冬は手と足が濡れると大人でもきついです。子どもは寒くて冷たくて泣いている子に「もう一つ手袋ないだか?靴下は?」と聞いて一緒に手伝ってあげます。自分も寒いけど自分より弱い子を助けようとする、冬は寒いけど子どもたちの心は思いやりでほわほわに温かいのです。
 
そんな厳しいドラマの冬ですが、子どもたちに「春夏秋冬の中で一番好きな季節は?」と聞くとみんな「冬!」と答えます。理由は「雪が食べられるから」だそうです。おー、何より雪が食べれることがすべての困難に勝ってしまうんだー!と感動で嬉しくなりました。
 
辛い中にも楽しさを見出す力。どんな状況に置かれても小さい希望を見いだせる力、楽しさに変える力。これさえあれば人は幸せな人生を送れるのだろうと思います。風りんりんの子たちはみんな持っています。「生きる力」って大仰に聞こえるかもしれませんが、そんな小さな力をどれだけ持てるか。生まれたときにもっているたくさんの力を大人がそぎ落とさない保育・子育てでありたいと願います。
 
石破さんは国会答弁でも、教育・保育の場面で「森のようちえん」という言葉を言ってくださいました。次は活動内容・目指すものがもっと正確に認知されて広がっていくことを望みます。

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