これぞ生きる力!
毎年恒例、節分大会(何を争うわけでもないけど大会と言ってしまうのは何故)。
この日は風りんりんのフィールド「ひめ山」に本物の鬼が来ます。今年は大人でもぞっとするくらいの茶色い毛むくじゃらで赤い玉の目をしたの鬼が木の棒を振りかざしてきました(こわーい!)
時間は遡り、その日の朝・・・。あすなろでは元気だった子どもたちがひめ山に着くころには顔がこわばっておりました。今年入園の子以外は去年の経験者。これから何が起こるか薄々わかっているのです。
ひめ山で紙コップにお豆を入れる作業中、ふきのとう組(年長)ももちゃんが泣き出しました。とは言えきっと気づいたのはあっちゃんだけ。静かに泣いて袖で涙をぬぐっています。その横で思いっきり顔がこわばったすみちゃん(ふきのとう組)。つついたら泣きそう・・。
朝の会でゆかちゃんが節分の絵本を読みます。鬼は「泣き虫はいねーかー?!」「弱虫はいねーかー?!」「いじめっこはいねーかー?!いたらとって食っちまうぞー!」のセリフに真剣な子どもたち。お、セットアップはいい感じ?(笑)
さて、鬼に扮したお父さん二人が上記のセリフを言いながら子どもたちに襲いかかります。親子組さんのお母さんやゆかちゃんの後ろに隠れる子、遠くに走って敵前逃亡する子、勇敢に豆を投げつける子、様々。
そんな中、鬼はさっき泣いていたももちゃんの隣に。「泣き虫はいねーかー?!弱虫はいねーかー?!」と顔30㎝のところでももちゃん攻撃。「泣き虫はいねーかー?!弱虫はいねーかー?!」そのときももちゃんの行動がすごかった。聞いたことない大きな声で「あたしは泣き虫じゃなーい!!あたしは弱虫じゃなーい!!あたしは泣き虫じゃなーい!弱虫じゃなーい!!!」と泣いて震えながら、それでも豆を投げ続ける。最後には「あたしは泣き虫じゃなーい!泣き虫はあっちーーー!!!」と他の友達を指さして鬼を追い払いました!(笑)
身体も声も震えながらそれでも豆を投げることを止めなかったももちゃんの凄まじいオーラは世界一強かった!!ももちゃんはすべてを手にした!ビデオを撮りながら静かに号泣するあっちゃんを見た子たちが「あっちゃんも泣いてたでー」というので「あっちゃんも鬼が怖くて泣いちゃったわ。」とその後辻褄が合いました。
一人の園児が以前言いました。「前行ってた幼稚園では鬼がお面付けてきたでー。中は人間が入ってるから全然怖くないで~」と。
風りんりんでは怖い鬼が来て、子どもはその後うなされたりもします。
あっちゃんの子たちは若狭のお祭りに登場する鬼が怖いと小学生になっても「早く寝ないと鬼がくるで~」というと「寝る!」と即行目をつぶっていました(笑)。
かくいうあっちゃんは「夜口笛を吹くと蛇が来る」ので絶対吹かなかったし、「家の中で靴を履いて外に出ると死んだ人」「お箸とお箸でつまむと死んだ人」など今でも絶対にしないこともいくつか。何より子どものころ「悪いことをすると一生刑務所」と信じてたから悪いことしちゃいけない!のような、自分のストッパーが心にありました。
風りんりんの節分には賛否両論あるかもしれません。節分に限らず、もちろんすべてを見せる必要はないと思いますが、汚いものや危険や競争や現実から遠ざけてばかりの「きれいごと」の保育で、本当の「生きる力」は育たないと思っています。幼児と言えど、大人が思うより日々現実を受け止め考え迷い答えを出していることに気付いてないのは大人だけだということに、そろそろ大人も気づかなくてはいけないとあっちゃんは痛感する毎日です。
子どもたちは「来年もくるからなー!」と言って山から逃げた鬼に「もう来るなーー!!」と全員で豆を投げていました。みな強くてかっこよかった!!来年もやろうね~(笑)