アオサギの風ちゃん(ふうちゃん)

少し前のうだるような暑さの日。車道に一羽のアオサギがいて車がそばを通っても動かない。変だと思ってスタッフのけいちゃんと二人様子を見に行った。一人のおばあちゃんが軽トラから降りてアオサギを抱きかかえ「怪我してるのよ~可哀そうに・・。」と。けいちゃんと病院に連れて行った。足の指が折れてぶらーんとぶら下がってる。車の中ではおとなしく静かにちょこんと座っていた。野生の動物では信じられないおとなしさだ。目をつぶった開けたり。だいぶ弱っていた。
病院につくと先生におとなしく抱っこされて、水を飲んだ。針無し注射器みたいなピストン式のもので喉がごくごくうごくほどたくさん飲んだ。とてもかわいかった。
首を伸ばしたりして少し元気になった。
先生の話。「野生同部を預かれるのは鳥取東部では2か所。管轄が行政になって、回復が難しいと思われるときは、安楽死させることもあります。」と説明を受けた。

「このまま自然に返しても、怪我とひどい衰弱ぶりから餌をとることも難しくつらい思いをして最期を迎えることになるでしょう。辛い苦しい想いをせずに・・というのも獣医の仕事。会節ができないことで動物のためになることなら、本当はいやなことでもします。それが獣医の仕事です。」という言葉にとても救われた。

その日の夜、安楽死をさせた、という報告を受けた。傷の様子から前日からあの道路にいたのだろうという結論。毎日35度を超す暑さが痛い日々続きだった。あんなところでけがをして動けなくなって誰も助けてくれなくて、よく生きてたな・・・。
泣いた。私たちが手を出したから寿命が縮んだ、と考えてはいけないことだとわかっているが、でもそれも事実。泣いた泣いた泣いた。顔が腫れた。

そして「アオサギの風ちゃん(ふうちゃん)」と名前をつけた。
ちょこんと座った姿、小さな目はかわいくてかわいくてきっとずっと忘れない。
風ちゃんいつかまた会おうね。

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